我が家は転勤族の家庭です。
夫の転勤辞令があるたびに、家族の未来、特に子供たちの教育について、
漠然とした不安がつきまといました。
どのようなことかというと、
「転校を繰り返した場合、学習の進捗具合にズレが生じるのではないか?」
(前の学校で習ってないところが、次の学校ではすでに学習済み、など)
「小学校高学年で中学受験を考えはじめた場合、その時の赴任地域の学校を受験することになるのだろうか?
学校や塾の情報をどうやって手に入れればいいんだろう?」
「上の子が中学受験を終えた後、転勤またあるだろうけど、下の子はどうするべき?上の子の学校を基準に、
下の子の進路も決めるべきなのかな?」
――どれも正解の見えない、子どもたちの教育に関することでした。
また、教育にかかる資金については、正直なところ「転勤族だから」といって、
転勤のないご家庭の教育費に特別な費用が上乗せされることはないだろうと、ぼんやり考えていました。
しかし、よくよく考えてみると、実は教育費用にも、転勤族だからこそ発生する「見えにくい費用」や、
転勤族だからこそ直面する「特有の課題」があることに気づいたのです。
今回は、FPの知識と転勤族ママとしての私の経験から、
そんな転勤族家庭の「教育に関する漠然とした不安」を乗り切ったリアルな対策をお伝えします。
転勤族家庭ならではの「見えにくい費用」や「特有の課題」とは何があるか?
我が家のように転勤を繰り返し経験しているご家庭では、
「教育費は、転勤の有無に関わらずかかるもの」と漠然と考えている方も多いかもしれません。
実際、学校の授業料や塾代といった基本的な費用は、転勤があってもなくても発生します。
しかし、よくよく考えてみると、転勤族だからこそ発生する、
通常の家庭では想定しにくい「見えにくい費用」や、「特有の課題」があることに気づきました。
具体的な例を見ていきましょう。
1.引越しに伴う教育環境変化の費用
転校や転塾は、子どもにとって学習面や精神面で大きな負担となるだけでなく、実は家計にも影響を与えます。
- 転校・転塾に伴う費用:
- 新しい塾の入会金、教材費、季節講習費など、前の塾とは別に新たに発生する可能性があります。
- 転校先の学校で、指定の制服や学用品、部活動用品などを再度購入する必要がある場合も少なくありません。
- 転校前後の学校や塾への「お礼」「ご挨拶」など、見えにくい交際費も意外とかさみます。
- 習い事の再契約・再購入:
- 同じ習い事を続ける場合でも、新しい教室の入会金や月謝体系が異なることがあります。
- 使用する道具や教材を買い直す必要が出る場合もあります。
- 学校や塾の情報収集費用:
- 見知らぬ土地での情報収集は、想像以上に大変です。遠隔地での学校説明会参加に伴う交通費や宿泊費、
あるいは有料の教育コンサルサービス利用などが発生することも。 - 地元のリアルな情報が手に入りにくいことで、非効率な選択をしてしまい、
結果的に遠回りな教育投資になってしまうケースも考えられます。
- 見知らぬ土地での情報収集は、想像以上に大変です。遠隔地での学校説明会参加に伴う交通費や宿泊費、
2.受験期の転勤とそれに伴う経済的・精神的負担
最も影響が大きいと思われるのが、中学受験や高校受験と転勤が重なるケースです。
- 受験のための移動・宿泊費:
- 受験地と転勤先の往復交通費や宿泊費がかさむことがあります。
- 夫が単身赴任をして子どもと妻が受験地に残ることを選択した場合、二重生活費が発生し、家計を圧迫します。
- 子どものメンタルケア費用:
- 転校や急な環境変化は、子どもにとって大きなストレスです。これに伴う心のケアや、
学習進度の遅れを補うための個別指導など、想定外の費用が発生する可能性も考慮しておくべきでしょう。
- 転校や急な環境変化は、子どもにとって大きなストレスです。これに伴う心のケアや、
3.住居費と教育費のバランスの難しさ
転勤族にとって、住居は常に変動のリスクを伴います。これが教育費の計画にも影響します。
- 住居費用と転勤時期:
- 持ち家の場合、転勤時に賃貸に出すか売却するかの判断が必要です。
その際の仲介手数料やリフォーム費用なども考慮しなければなりません。 - 賃貸で暮らす場合も、その都度住居の仕様(窓の大きさ、間取りなど)が異なるため、
カーテンや家具・家電をその都度買い替えたり、処分したりする細かな費用が発生し続けます。
- 持ち家の場合、転勤時に賃貸に出すか売却するかの判断が必要です。
4.配偶者のキャリア中断による世帯収入への影響
これは直接的な「教育費」ではありませんが、教育費を捻出する上で非常に大きな影響を及ぼします。
- 転勤により配偶者(多くの場合、妻)が退職やキャリアダウンを余儀なくされると、
世帯全体の収入が一時的、あるいは恒常的に減少します。
結果的に、教育費に回せる金額が減り、家計全体を圧迫する要因となります。
これらの要素は、単独で見れば「まあ普通もあるよね」と感じるかもしれません。
また、転勤関連費用は勤務先が負担してくれる場合も多いでしょう。
しかし、勤務先が負担してくれるのはあくまで転居に伴う直接的な費用が主であり、
教育関連費用については、まず負担してくれません。
上記にあげたような事柄が、転勤が繰り返される中で複合的に絡み合い、
かつ予測しにくい形で発生するため、転勤のないご家庭と比べて、
教育費計画を立てにくく、かつ突発的な出費に晒されやすいという点が
「転勤族ならでは」の大きな課題となるのです。
こう乗り切る!転勤族家庭の教育費、具体的な3つの対策
前の章では、転勤族家庭ならではの『見えにくい教育費』や『特有の課題』についてお話ししました。
では、具体的にどのようにそれらの不安を乗り越えていけば良いのでしょうか?
FPとしての知識と、私自身の転勤族の妻としての経験から導き出した、3つの具体的な対策をお伝えします。
1.「ライフプランニング」で教育費を「見える化」する徹底
教育費の不安を解消する第一歩は、漠然とした費用を明確な数字に落とし込み、「見える化」することです。
まずは、お子さまが中学進学から大学卒業までの総額をざっくりと把握しておきましょう。
- 例えば、都内の私立中高の学費は幅がありますが、年間約150万円と仮定し、
ここに塾代や習い事代、通学交通費なども加算して見積もってみてください。
- 学費の目安は様々なサイトで詳しく調べることができますので、それらを参考にしつつ、
少し高めに見積もっておくと安心です。
この「ライフプランニング」を行うことで、お子さまの教育費だけでなく、
何年後にいくらくらいのお金が必要になるのか、そして、
今現在いくらあって(いくら使えて)、いくらを何年間で準備する必要があるのか、
といった具体的な数字をシミュレーションできます。
ただ漠然と貯蓄するだけでは目標期間内に必要な金額に追いつかないこともあるかもしれません。
無理な節約は長く続けられないためおすすめできませんが、
どのように目標の期間で目標金額を達成させるか、具体的な計画を練ることが重要です。
例えば、比較的長期間にわたって使う予定のない教育資金であれば、NISAなどの非課税制度を活用した
資産形成を検討してみるのも良いでしょう。
2. 「情報収集」はフットワーク軽く&オンライン活用
転勤族家庭にとって、新しい土地での情報収集は教育費計画を左右する重要な鍵となります。
特に、学校や塾、住む場所の選定は、子どもの教育環境と密接に関わるため、効率的かつ
正確な情報収集が不可欠です。
夫の転勤が決まったら、すぐに(本当に、即座に) 情報収集を始めることを強くお勧めします。
(私がそうしていただけですが・・・)
特に、「どの地域に住むか」は重要です。
夫の通勤の利便性と、我が家の教育方針に合った教育環境が整った地域はどこか…といった具合に、
私はいつも情報収集を重ねていました。
【リアルな課題】ネット情報だけでは見えない「生の声」
お子さまの性格にもよるとは思いますが、私の場合、「転勤族の子供が多く、転校生が珍しくない学校」
を探していました。
同じ境遇の子どもたちがたくさんいる環境なら、子どもも安心できるだろうと考えたからです。
具体的には、学校のHPやSNS、地域のママコミュニティなどを活用して情報収集を行いました。
しかし、そこで直面したのが、ネット情報だけでは本当に知りたい情報が得にくいという課題です。
例えば、「評判の良い学校」と一口に言っても、その「評判」の基準は人それぞれです。
- 「お受験に強い幼稚園」
- 「独自の学習メソッドで知的好奇心を伸ばす幼稚園」
- 「文字や計算は一切させず、とにかく泥んこになって遊ぶことを推奨する幼稚園」
これら3つは全て「おすすめ幼稚園」「とても評判の良い幼稚園」として紹介される可能性があります。
しかし、自分の子どもにどんな教育を受けさせたいかによって、どの園が最適かは全く異なります。
そして、このような本質的な情報は、なかなかネット上には出てこないのが現実です。
何よりも難しかったのは、学校や幼稚園のこと以前に、
「どこの地域に住むのか」という、住む場所の情報収集でした。
「良い地域」の定義も多岐にわたり、ネットで調べるだけでは非常に困難だと感じました。
【FPママの裏技!】不動産屋さんが教えてくれる地域の教育情報
そこで私がいつも本当に信頼をしていたのが、他でもない引っ越し先の「不動産屋さん」です!
不動産屋さんは、その土地の住環境だけでなく、地域の教育事情にも意外なほど詳しいことが多々あります。
- 塾や学校の雰囲気
- 学区の評判
- 子育て世代に人気のエリアの特性
- 地域の子どもたちの過ごし方
など、ネットでは探せないような、表には出にくい「生の情報」を教えてくれることがよくあります。
家探しの際に、遠慮せずに希望する教育環境などについて相談してみるのが本当におすすめです。
家探しと同時に、その土地の教育情報を効率的に集めるチャンスとなります。
3. 「転勤」を逆手に取る考え方と準備
転勤族家庭は、子どもに負担をかけてしまう…と考えがちです。
しかし、視点を変えれば、「転勤」だからこそ子どもに多様な教育機会を与え、成長を促すことができると
捉えることもできます。
私自身も、子どもたちが転校生になることがわかっていたからこそ、スムーズに新しい環境に馴染めるよう、
できる限りの準備をしてきました。
3-1. 転勤を強みに変える!「先取り学習」と「適応力」を育む
転校生が直面しやすい「勉強がわからない、ついていけない」という不安を解消するため、
私はかなり早い段階から子どもたちに先取りで勉強を教えました。
(特別な教職を持っていたわけではなく、自己流ですが。)
転校を通して様々な地域で多様な人々と関わり、付き合う経験は、
子どもにとって(もちろん大人にとっても)かけがえのない財産になると信じています。
合わない人や困難な状況に直面することもあったと思いますが、
新しい輪の中に入っていく力や、うまく付き合っていく方法を学ぶことは、
素晴らしい経験だと感じています。
3-2. 家計とメンタルのバランスを考える「住居選び」
住居選びは、転勤族の家計と生活の質に直結します。
- 【社宅利用の賢い活用術】
- 社宅利用は家賃を大幅に抑えられ、家計にとっては非常に魅力的です。
もし精神的に社宅利用で問題がないのであれば、住居費を抑え、
浮いた分を教育費に回すという賢い戦略をとることもできます。
- 社宅利用は家賃を大幅に抑えられ、家計にとっては非常に魅力的です。
- 【FPママ&転勤族の妻の視点】住環境は「メンタル」に直結する投資
- しかし、いくら数年しか住まない予定であっても、住環境は転勤族の妻にとって、
そして家族のメンタルにとって、非常に大きな影響を及ぼすと私自身は個人的に感じています。
もし住居を選べる状況であれば、費用だけでなく、家族のメンタルや生活の質を十分に考慮して
決めるべきです。
教育費のためだからと無理をして、家族のメンタルが疲弊してしまっては本末転倒です。
- しかし、いくら数年しか住まない予定であっても、住環境は転勤族の妻にとって、
3-3. 転勤が決まったら「ライフプランの見直し」を習慣に
転勤族だからこそ、定期的なライフプランの見直しは不可欠です。
- 転勤が決まったタイミングで、必ず教育資金計画を含むライフプラン全体を見直す習慣をつけましょう。
- 住居費や通勤費、生活環境の変化に伴う支出の増減などを再度シミュレーションし、
これまでのライフプランにズレがないかを確認します。
この習慣が、予測しにくい転勤生活でも安心して教育費を準備できる基盤となります。 - 単身赴任を選択した場合、二重の生活費に加え、家族に会うための交通費なども相当かかります。
我が家の場合は、夫の精神的な疲弊の具合もとても心配でした。
物理的な距離だけでなく、慣れない土地での一人暮らしや、家族と離れることによる精神的な負担は
計り知れません。
どうしようもない部分もありますが、
もし単身赴任になった場合は、このような予定外の出来事(資金面でも精神面でも)が発生することを
あらかじめシミュレーションしておくと、いざという時に冷静に対応できるでしょう。
不安を解消し、自信を持って教育プランを立てよう!
転勤族家庭の教育費に関する漠然とした不安は、決してあなた一人だけのものではありません。
しかし、今回お伝えしたように、転勤族だからこその強みを生かし、計画的に準備することで、
お子様の希望する私立中学・高校への道は確実に開けます。
大切なのは、漠然とした不安を「見える化」し、具体的な行動に変えること。
そうすることで、未来はきっと明るいものになります。
【個別相談のご案内】
「もっと詳しく相談したい」「我が家の場合は、具体的にどうすればいいの?」
と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
FP(ファイナンシャルプランナー)として、私自身の転勤族の妻としての経験と、専門知識を活かし、
あなたの家庭に合ったオーダーメイドの教育費プランを一緒に考え、具体的な一歩をサポートさせていただきます。
お一人で抱え込まず、ぜひココナラのサービスでご相談ください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供であり、記載されている制度や費用は将来的に変更される可能性があります。個別の状況や最新の情報については、必ず各学校や専門家にご確認ください。